こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、西田幾多郎先生が『善の研究』で探究された「主客合一の直観(純粋経験)」という内なる哲学と、福澤諭吉先生が『学問のすゝめ』で打ち立てた「独立自尊と実学」という外なる力学。この二つの知性がどのように重なり合い、現代を生き抜く「実学」として結実するかについてお伝えいたします。
まえがき
内なる直観を、いかに社会で生きる「力」に変えるか、西田幾多郎先生が格闘した「純粋経験」とは、思慮分別や価値観、既存の言葉という「枠」で切り分ける前の、生々しい現実をそのまま捉える真の実在の姿です。
しかし、どれほど深い内なる直観や高い志を持っていたとしても、それを現実社会で活かすための「足場」がなければ、単なる観念論や理想郷に終わってしまいます。そこで不可欠となるのが、福澤諭吉先生が説いた「独立自尊」であり、現実に立ち向かうための「実学」です。
知ることと生きることを一つにする。そのためには、内なる直観を外なる社会的な「生きる力」へと架橋しなければなりません。
【内なる軸】言葉や枠組みの「前」にある現場の感覚
建築や土木、インテリアという現場において、私たちは往々にして「仕様書」「図面」「専門用語」といった判断後の言葉(枠組み)に縛られがちです。しかし、本来の仕事の原点は、現場の空気、素材の肌触り、そこで働く人の動作をそのまま全身で捉える「主客合一の直観」にあります。
西田哲学が示す「知と愛は同一である」という言葉の通り、対象(現場や他者)を深く知り、自分以上に大切に想う「職人の至誠」こそが、すべてのイノベーションや構造改革の出発点です。言葉や分類に惑わされず、足元の生々しい手触りを信じること、これが内なる軸となります。
【外なる力】福澤諭吉先生が説く「独立自尊」と「実学」の正体
福澤諭吉先生の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という有名な一節の真意は、人間は皆平等だからこそ、「学問(実学)に励み、独立自尊を確立したか否か」によって人生の自立度が決まるという厳しい現実です。
ここで言われる学問とは、現実の役に立たない空論(実なき学問)ではなく、数理、技術、法、経済といった社会を行き抜くための「実学」です。経済的・技術的に他者へ依存せず、自らの足で立つ「独立自尊」の基盤があって初めて、人は「天の意思」や「他者への気働き」を身に帯び、誇り高く生きることができます。
【統合】技術という「命綱」があるからこそ枠組みを打ち破れる
なぜ多くの専門家が、自分の領域(建築から出ない、インテリアから出ない、デザインから出ない)に閉じこもってしまうのでしょうか。それは能力の問題ではなく、自らの「足元にある技術力」に対する根本的な確信(命綱)を欠いているため、枠組みの外に出るのが怖いからではないでしょうか。
私自身、建築の将来性に疑問を感じて土木の世界へ飛び込み、インテリアに生き、設計から施工へと現場を泥臭く横断してきました。怖さがなかったかと言えば嘘になります。しかし、私を支えてくれたのは「自分には泥臭く現場を納める泥臭い技術力だけはある」という実学の確信でした。
確かな技術力という命綱があるからこそ、人は既存の専門性の壁を打ち破り、日本文化や法規範、生成AIに至るまで「学問のレベル3(前提そのものを疑い脱構築する学び)」へと跳躍できます。西田幾多郎先生の「絶対矛盾的自己同一(矛盾するものを抱えて一つにする)」とは、内なる精神性と外なるハードな技術・財務を、ひとつの生き様として成立させることに他なりません。
結び:身を立て、一隅を照らす、100年後へ繋ぐ「実学の足場」
私は、徹底した「役割主義」をとっています。自分より優秀な方がいれば任せればよいし、いなければ、必要に応じて、自ら立つだけです。現代社会において「学問のレベル3」に到達し、領域を横断して全体像を見渡せる人材が少ないのであれば、私なりの判断の基に、足りないと思われることは自分の役割と考えて進んでいく覚悟です。
「今だけ、金だけ、自分だけ」という短期的なアメリカンビジネスの風潮に流されることなく、日本古来の正当な商売の原型である「石門心学」の教えを守り、地道に愚直に精進してまいります。先達から受け取った智慧を、パラーツの『3つの遺産(思想・事業・基盤)』として実体化し、100年後の次世代が安心して芽吹き、挑戦できる「確固たる足場」を遺してまいります。
今回の記事で「学問のレベル3(前提そのものを疑い脱構築する学び)」という概念を提示させて頂きましたが、「学問のレベル3」と説明されても具体的にイメージをすることが難しいと思いますので、次回は、この考え方の基になっているグレゴリー・ベイトソンの「精神の生態学(学習理論)」を引用しながら、パラーツ×Geminiとしての解釈を説明していきます。(パラーツ×Gemini)
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パラーツ計画技術研究所 知の構法構築家 鈴木邦彦
