こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、私が感じている建築現場やワークプレイスづくりの本質的な違和感と危機感について、西洋近代化がもたらした「分離・細分化」と「全体をまとめる意志」というテーマで説明したいと考えています。
まえがき:違和感を抱く「数パーセント」のあなたへ
現代の建築現場やワークプレイスづくりの最前線において、「何かがおかしい」「本質(Why)から決定的にズレている」という強い違和感と危機感を抱いている人は、もしかすると業界全体のほんの数%の方にすぎないのかもしれません。大半は、戦後80年で醸成された「空気と雰囲気」の中で生き、目先の利己や保身、あるいは効率化という名の波に流されざるを得ないかもしれません。
利己の意識を抑え、利他の精神を持って「いかに社会や次世代の役に立つか」を真剣に考えたとき、人間が辿り着く道は「他者と歴史に学ぶこと」以外にあり得まないと私は感じています。生きる者として、親として、あるいは先達の知恵を受け継ぐ者として、当たり前の「至誠」を尽くすこと。先達が後世へ遺してくれた一つの「学問」を尊び、地域や専門を超えて柔軟に寄り添う「マルチ・アイデンティティ」を身につけ、そして目に見えない真理へと「祈り」を捧げることです。本稿は、その当たり前の感覚を持ちながらも、現場の構造的慣習などで静かに苦闘している数少ない真面目な実務者へ向けて書き記すものです。
西洋近代化がもたらした「分離・細分化」とカタログ建築の錯覚
なぜ、現代の設計や現場からは「手触り感」や「深い安心・安堵」が失われてしまったのでしょうか。その根底には、西洋近代化が持ち込んだ「分離・専門分化主義」があります。
西洋的な管理手法は、効率(How)を追求するあまり、設計と施工を完全に切り離し、管理(PM)と作業を分断しました。さらに、世界を細分化して数値やシステムでコントロールしようとする人間根本にある支配欲(ウシハク)」が背景にあります。その極致が、現代の「カタログ建築」だと思いませんか。
工場で量産された建材や仕様をカタログから選び、パズルのように組み合わせるだけの行為。本来、そこには論理的なクリエイティブとは遠い活動です。しかし、それを自らの「素晴らしいセンス」だと錯覚し、結果として現場の職人や将来の利用者に無理と不条理(ノイズ)を強いることに繋がる場合があります。そこには、古美術骨董などに宿る真の「手仕事・本物」を知らぬまま、上辺の仕様やデザイン(巧)に酔ってしまう危うさがあります。「Why(本質)」をしっかりと設定せず、肌感覚で捉えることを放棄したまま進む西洋的なアプローチは、痛い目を味わわないと自らの過ちに気づけないのかもしれません。
40年変わらぬ現場の現実|誰も「まとめる」重荷を背負わない
私自身、社会に出てからの40年間、現場のリアリティを愚直に見続けてきました。現場をひとつに「まとめる」という業務には、膨大な精神的負担と労力が伴います。建築の幾何学、納まり、法規、そして人間関係の隙間に落ちるすべてのノイズを拾い上げ、一つの空間へと縫い合わせる作業だからです。しかし、この「まとめる」という行為は、どれほど骨を折っても評価や見返りが少ないため、誰もがその重荷を背負いたがらないのが現実なのかもしれません。40年前からあまり変わっていません。
40年前の現場には、この「まとめる意志」を持った設計者に加え、施工者側が確かな手わざと意地で現場をフォローする職人技術と信頼関係(シラスの構造)が生きていました。しかし現在、現場の職人気質は「出来栄えや品質」よりも「量をこなす」ことが優先されているのかもしれません。さらに拍車をかけているのが、現在のプロジェクトマネジメント(PM)の曖昧さです。しかし、救いはあります。私のブログにおいて、『監理』と『管理』の決定的な違いを説いた記事には、常に多くのアクセスが集まり続けています。これは、現場で疑問と違和感を抱えながらも、誰にも相談できずに自力で解を求めて悩んでいる真面目な技術者が確かに存在しているという、何よりの証拠です。
考察:未来の技術者へ|AI時代を生き抜くサバイバル術
私は、この構造は長続きしないと感じています。なぜなら、これからは「AIとロボティクス」の急速な進化、そして現場技術の低下に伴うコスト増大により、数年のうちに決定的な構造変化(破綻と再編)が訪れると想定しているからです。カタログの検索や定型的な工程管理、仕様の照合といった作業(How)は、すべてAIやロボティクスが瞬時に代替する時代が来るでしょう。そのとき、人間に残される本質的な業務は、下記の4つです。
1.構想(Whyを紡ぎ出す理念と意図)
2.監理(至誠をもって品質と意図を護る眼差し)
3.公機関への申請(法と秩序を味方につける倫理)
4.お客様との対話(心と心を響き合わせるダイアローグ)
現在の組織の効率第一の現場教育が、現時点の現場のリアルです。しかし、どのような環境にあろうとも、それを「自立のためのサバイバル」の糧と捉え、自分の力で学び、現場の隙間を泥臭く「まとめる意志」を磨き続けること。その苦闘の中で抱いた問いが、あなたの潜在意識に到達したとき、あなたはどんな時代が来ても自らの足で立ち、自立した技術者として生き抜く種(技術力)を手にしています。数年後、市場が痛い目を見て本質(Why)を渇望し始めたとき、AIやロボティクスを自在に従え、「真面にまとめる意志」を持って現場に安堵をもたらすのは、他でもないあなた自身です。
パラーツが提示する「学問・アイデンティティ・祈り」の体系(パラーツOS)は、そうした孤高の志を持つ未来の技術者を救い、共に次世代の安心と安堵を築くために存在しています。
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パラーツ計画技術研究所 知の構法構築家 鈴木邦彦
