こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、至誠のマネジメント2に続き、「気のエネルギーを整え『整流』へ」「フェアプレイ精神」「スペシャリストの役割主義と知足(感謝・五観の偈)」「隙間の至誠(菩薩行)」「自己統制(如来)」などの具体像を深掘りして、「シラス」の概念をより立体的に提示いたします。
まえがき
建築現場での「シラス」という概念について、私なりに解釈すると、組織体の体制や商流による上下関係はなくならないとしても、ひとりの人間としては皆平等という視座に立つことです。組織の体制と役割が見える化され、上層部は現場の現実を深く理解して必要な判断をし、現場側は上層部の気構えや前工程の苦労に「有難み(感謝)」を感じながら自らの業務を誠実に行う。そして互いに協力し合うことで、建築現場のメカニズムそのものが高次元へと昇華されていく状態を指します。
このような解釈は、具体的なイメージを示さないと伝わらないと感じますので、本ブログの過去の記事から、下記のような記事を選び出し伝えます。
〇気のエネルギーと知足:「禅の「知足」とは?気のエネルギーを仕事と暮らしに活かすマインドセット」
〇フェアプレイ精神:「ビジネスにおける「正しい判断」とは?ブレない意思決定軸をつくる思考法」
〇隙間の至誠(菩薩行):「Zen 禅語 菩薩行(ぼさつぎょう)」
〇自己統制(如来):「ブッダに学ぶ自分を統治する技術」
また、下記の記事では「至誠のマネジメント」への取り組みとして、本来の日本的な強さである「目の前の現場(足元)の密度を高めること」が成功を導く鍵であるという考え方を提示しました。浜崎洋介先生の解説動画を参考に考察を深めています。
〇縮み志向・シラス:「大風呂敷の理論より手触りのある至誠-「縮み志向」と「シラス経営」が現場を一つにする」
参考動画:「縮み志向」って何?日本人の強さの秘密と世界に類を見ない日本文化の正体/浜崎洋介先生
では、「シラス」概念を立体的に表す5つのポイントを説明いたします。
「シラス」概念を立体的に表す5つのポイント(パラーツ×Gemini)
●気のエネルギーを整え『整流』へ
「統制・監視(Control)」から「整流」への転換の必要性は、「気(エネルギー)」の概念を理解することで明確になります。現場を無理やり力で押えつけるのではなく、現場に流れるヒト・モノ・情報の「気(エネルギー)」の滞りをなくし、自然に流れるように整えることこそが、新しいマネジメントの形(整流)です。
●フェアプレイ精神
絶対的な正しさはないという前提に立つと、「正しい」の決め方は現場のヒエラルキーに依存しがちです。フェアプレイ精神に基き、「正しい」が決められていけば問題ありませんが、そこに不条理が含まれてしまっている場合は、立場や利害を超えるフェアプレイ精神が必要となります。
●スペシャリストの役割主義と知足(五観の偈)
スペシャリストが自身の分をわきまえ、等身大で己の役割を全うする「知足」の精神は、「役割主義」の根幹をなすものです。「五観の偈」にあるように、目の前の工程や資材に至る背景の労苦へ「有難み(感謝)の心を向けることで、過剰な自己主張や領域侵犯を戒め、足るを知る意識が生まれます。この自省と感謝があって初めて、現場に有機的な連携が生まれてきます。
●隙間の至誠(菩薩行)
仏教の教えである菩薩を現場業務に例えると、自分よりも他人を優先して行動する菩薩行(秩序を目指して自律的に励む姿)であり、その実践方法として「四摂法(布施・愛語・利行・同事)」があります。
布施:自分が持っている技術などで、役に立つものは惜しみなく現場で差し出すこと。
愛語:全員の仕事を安全かつ高次元で完成させるための、厳しくも真摯で温かい言葉かけ。
利行:現場や仲間に対して、実際に役に立つ行動をとること。
同事:相手の立場に立ち、喜びや苦しみを共有しながら共に歩む至誠を持つこと。
現場の整流を安定して保ち、見えにくい「管理の隙間」を見つけて至誠を持って隙間を埋めるためには、この菩薩行の意識は欠かせません。
●自己統制(如来)
リーダー自身がブッダ(如来=真理を悟り、全体を俯瞰する存在)のような高い意識を持ち、自分自身をしっかり統治(自己コントロール)できているからこそ、現場に「シラス(至誠・信頼関係)」の空間を創り出すことができます。これこそがマネジメントの至るべき姿です。
考察
シラスの概念は、養正(ようせい)と共に、『日本書記』の神武天皇の言葉や即位前記に由来しています、「シラス(知らす・治す)」とは、武力や権力で抑えつける「支配(ウシハク)」とは異なり、統治者が人々の暮らしや国柄に深く寄り添い、広く心を寄せてそのあるべき姿を示す、公平で一体感のある統治のあり方を指します。
また、「養正」とは、私利私欲や暴力ではなく、普遍的な道義や正しい心を養い育てる精神を意味します。古来日本には神仏習合の習慣があり、共同宗教である神道に対し、仏教は「個人の生き方や心構え」を深める役割を果たしてきました。禅や仏教の教えに、個人レベルで「シラス」の精神を支え、強固にするための智慧であると解釈できます。
次回【至誠のマネジメント4】では、日本の歴史や思想(「縮み思考」や「シラス」の概念)を具体的に紐解きながら、西洋型PMを日本的感性で再構築する手法へと踏み込んでいきます。
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パラーツ計画技術研究所 知の構法構築家 鈴木邦彦
