【建築プロジェクト論】和算と幾何学の身体感覚|細切れの西洋科学を超え、自然の理を至誠で捉える【至誠のマネジメント14】

こんにちは、パラーツの鈴木です。

本日は、前回に引き続き名著『天地明察』の真理を「和算と幾何学の身体感覚」という視点から紐解きます。世界を細切れにして分析・支配する「西洋近代科学(部分最適)」は、時にデザインの空洞化や現代社会の不全を引き起こします。これに対し、江戸の「和算」は単なる計算手法ではなく、図形や絵馬(算額)を通して手と身体で自然の理(ことわり)を受け止める「至高の知恵」でした。

物語終盤の「三歴勝負における敗北からのリベンジ」を手がかりに、分断された近代科学と多岐にわたる専門知を統合する「建築構法」の全体的基盤(全体最適)を対比させながら、私たちが取り戻すべき身体感覚とプロジェクトの本質について考察します。(パラーツ×Gemini)

まえがき:「頭で考える科学」の限界と不具合

●世界を細切れ・専門分化する思想:西洋自然科学

西洋の自然科学は、世界を細切れに専門分化し、「実験と計算式」によって自然を脳内で分析し、支配・コントロールしようとする手法です。特定の目的に対して短期的な成果を出すことには極めて長けています。

しかし、大局的な視点や全体最適を置き去りにしたまま専門分化を推し進めると、社会的課題とのズレが生じたり、領域間の隙間に不具合が生まれたりします。建築やデザインの現場においても、過去の表層だけを真似た「薄っぺらで根のないデザイン」に陥ってしまう危険性をはらんでいます。

和算の本質:身体感覚で理(ことわり)を受け止める

●「手で考える」身体感覚と自然との一体感

一方、日本の「和算」は単に数式を弄(もてあそ)ぶ計算テクニックではありませんでした。それは、神社仏閣に奉納する絵馬(算願)の図形を通して、手と身体感覚でその意味を感じ取り、自然の理(ことわり)を至誠を持って受け止める「道楽=信仰・至高の知恵」でした。

和算の根底には、人間の身体感覚と自然の法則が地続きでつながり、身体全体で自然と一体になって思考する感覚が存在します。

私自身のものづくりの感覚としても、単に「頭(脳)で論理的に組み立てている」というよりは、「手でものや空間に触れ、手が感じ取った真理を脳へ伝えている(手で考える感覚)という強い実感があります。

宇宙と世界を大局的に見る:バランスの思想

●対立を超え、時代の課題に応じた手法を選ぶ

「自然を細切れにして支配しようとする西洋自然科学」と「身体感覚で自然の理を受け止めようとする和算」。これはどちらが正しく、どちらかが劣っているという単純な善悪二元論ではありません。

なぜなら、宇宙や世界、人間の真理について、私たちが科学で解明できていることなどほんの「一握り」に過ぎないからです。

重要なのは、「バランス」です。どちらか一方に偏執するのではなく、その時代・その瞬間の社会課題に対して、西洋の科学的アプローチと日本の和算・和の思想の双方から、最も適した手法を客観的に選び取ること(実学)が求められます。

その上で、私が和算に強く惹かれるのは、頭だけの分断された理解よりも、人間の身体感覚を出発点として自然を理解しようとする和算のあり方が、現場でものづくりに携わる構築家・職人としての感覚にしっくりと馴染むらにほかなりません。

「建築構法」という真の基盤の構築

●全体を俯瞰し、敗北から正しきリベンジを導く学問

建築学の中で「建築構法」とは、人間の身体感覚に寄り添い、全体最適を最も大切にしてきた領域です。職人の手仕事と工業技術を尊重し、専門分化で細切れになりがちな建築学全体を俯瞰して眺めることができる唯一の学問と言えます。

部分最適に走りやすいデザイン先行のアプローチとは異なり、多岐にわたる要素(法規・構造・材料・人間のケア)を統合する「建築構法の体系化」こそが、時代に揺るがない真の基盤を築きます。

それは『天地明察』において、一度の三歴勝負に敗北した渋川春海(安井算哲)が、己の慢心を恥じ、地道な観測と数理の積み重ねによって、正しい改暦(リベンジ)を果たした姿に重なります。真理の地道な積み上げ(観測+数理)なしには、真のブレークスルーは成り立たないのです。

あとがき:図形と幾何学に宿る霊性と調和

●幾何学モデルで「心の軌道」と「志」を描く

円・点・直線の幾何学モデルには、単なる図形を超えた自然の摂理と人間の身体感覚を結び直す深い意味(Why)が込められています。自然の理(ことわり)と人間の身体感覚を再び結び直す試みこそが、パラーツが目指す「知の体系」です

例えば、私たちは幾何学を通して下記のような深い問いを描くことができます。
●縁と刺激の「反射・軌道修正」を幾何学の軌道として描く。
●三位一体の遺物(思想・事業・基盤)を幾何学の構造として描く。

図形と向かい、手で考え、至誠をもって構造を組み立てること。これこそが、現代の不確実な世界において私たちが取り戻すべき、真の知的士気(プロジェクトマネジメント)なのです。

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パラーツ計画技術研究所 知の構法構築家 鈴木邦彦

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管理人

パラーツ計画技術研究所 代表 / 一級建築士・工学修士

専門領域:建築構法・建築生産・ワークプレイスデザイン・ものづくり経営
主要資格等:一級建築士 / 監理技術者 / 儀礼本科修了 / 茶道文化検定
実績・執筆:Amazonカテゴリ1位獲得著者(単著3冊)、公益財団法人 建築技術教育普及センター テキスト共著 ほか

【パラーツにおける「3つの探求軸」】
■ 建築構法の専門家として
一級建築士として長年建築の現場や監理に携わってきた視点から、構法学の本質を現場実務に活かすことを探求してまいりました。当ブログ「パラーツ」にて、その知見と技術的成果を余すことなく公開していきます。

■ ものづくり経営学の探求者として
ものづくり経営学に基づくマネジメントを探求し、現場実務のマネジメントに活かす実践的な方法を伝えていきます。

■ 日本歴史・文化の探求者として
日本の歴史の探求者として、先達に感謝しながら、歴史の本質と先達の思いを未来へ繋いでまいります。

【学歴・職歴】
・1987年:明治大学大学院 博士前期課程修了(工学修士)
・1987年-1997年:集工舎建築都市デザイン研究所
・1997年-2002年:機械土木系事業会社
・2002年-:インテリア・什器系事業会社
・2022年-:パラーツ計画技術研究所 設立
「建築・都市・土木・インテリア」という多様な領域にまたがり、「開発・設計・監理・管理」という多角的な実務経験を長年にわたり積み重ねてまいりました。

【執筆・著書実績】
[単著]
・『ワークプレイスづくり 安心とゆたかさのために』
・『ワークプレイスづくり 現場哲学を持ち創意工夫を凝らす方法!』
・『ワークプレイスの知 苦手意識があるワーカーのための法を味方につける方法!』

[共著・公的テキスト等]
・『インテリアプランナー更新講習テキスト ワークプレイスのリ・デザイン』(公益財団法人 建築技術教育普及センター)
・『インテリアプランナー更新講習テキスト New NormalとWorkplace』(公益財団法人 建築技術教育普及センター)
・『SD別冊25 近未来実験集合住宅NEXT21「部品3パート」』
・『コンバージョン[計画・設計]マニュアル「サブシステム・インフィル」』
・『群居29 特集X年目のすまい』 ほか

【ブログ運営の目的と基本姿勢】
当ブログは、これまでの人生の中で縁をいただいた専門・組織・分野における多様な実務経験と実直な学びを基に、ワークプレイスに関連する技術的成果により、これからの未来を生きる後世の役に立つために創業した「パラーツ計画技術研究所」の公式ブログです。

自らの専門分野を広義・狭義にわたり説明すると共に、関連する先達や第一人者の成果を尊重・引用させていただきながら、読者の実務や人生に役立つ「生身の知恵(単なる知識ではなく、本質を見抜く智慧)」のプラットフォームとして発信を行っています。

[参考文献およびAI協働ポリシー]
本記事の執筆にあたっては、時代や分野を越えた「より良い方法」を導き出すため、各分野の先達や第一人者の知見を拝受すると共に、AI(Google Gemini)との対話を通じて得られた知見を情報の整理および構造的な考察の補助として活用しています。人間の「身体感覚(手)」とAIの「知(脳)」が尊厳を持って協働し、時空を越える「安堵」の空間を追求する――これからの時代における「人間とAIの共生」のあり方を、本ブログを通じて実践・記録しています。

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