こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、オフィスとワークプレイスの歴史について説明いたします。
まえがき
パラーツは、建築とファシリティ、そしてインテリアの歴史の中で、ワークプレイスの歴史的な背景をしっかりと把握しながら、ワークプレイスの未来に携わっていきたいと考えています。
なぜならリアルなワークプレイスは、建築やファシリティという不動産と密接な関係にあるからです。
〇リアルなワークプレイス:「構法 オフィス・ワークプレイスの構成要素」
オフィスのはじまり
ワークプレイスが作られた始めたのは、今から100年ほど前です。当時はインターネットやクラウドによるバーチャルな仕組みがある訳はなく、ワークプレイスは、オフィスや執務室と言われるリアルな働く場所からスタートしました。
オフィスは、1911年にアメリカのフレデリック・テイラーにより考案された科学的管理法という「マネジメントの原点と言われる思想」を色濃く受け継いだ「テーラリスト・オフィス」からの始まりました。雇用主への繁栄と労働者への最大限の豊かさを実現する思想はうかがえるものの、「効率」の追求が主目的のオフィスです。
ワークプレイスの変遷
20世紀のオフィスは、テーラリスト・オフィス以降、下記の四つの段階を経て発展してきました。
●テーラリスト・オフィス
工場の生産ラインのように、監視や効率を最優先した机の配置。
●ソーシャル・デモクラティック・オフィス
第二次世界大戦後、ワーカー同士の自発的なコミュニケーションや民主的なつながりを促すために生まれたレイアウトに変わっていきます。効率性から人間性へ考慮したオフィスです。
●ネットワークド・オフィス
2000年頃、インターネットやモバイルツールの普及に伴い、オフィス内を情報ネットでつなぎスマート化された環境を備えたオフィスです。
●ミックス・オフィス
現在の段階です。ワークプレイスという概念は、「特定のオフィスビルなど」という枠を超え、点在する場所をインターネットでつなぐ形へと進化しています。ワーカーの「働く」と「暮らす」が一体化し、ワークプレイスが、都市や街と深く融合していきます。
法整備とワークプレイス関連団体
法整備やオフィス関連団体の変遷からワークプレイスの歴史を見ると、1960年にスチール家具のJIS規格が制定されスチール家具が量産化されたことにより、木製のデスクと椅子で構成されていた日本のオフィスに一気にスチール家具が普及し、日本のオフィスの近代化の一歩となりました。
1956年 日本オフィス家具協会(JOIFA)の発足
オフィス家具の普及・啓発を目的に、鋼製家具事務器工業会として設立。
1985年 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)の発足
アメリカ合衆国から輸入された施設の管理手法ファシリティマネジメントの研究等のため設立。
1987年 ニューオフィス推進協会(NOPA)の発足
ニューオフィス化を推進するための団体。
この頃から、日本のオフィス環境において、革新的な変化が起こりはじめました。
1991年 日本テレワーク協会の発足
1999年 日本オフィス学会(JOS)の発足
2017年 コワーキングスペース協会の発足
2019年 一般社団法人みつめる旅の発足
ワークプレイス関連団体の詳細は以下を参考としてください。
〇ワークプレイス関連団体:「オフィス・ワークプレイス関連団体」
法整備とファシリティ
1960年代
大型ビルの建設がはじまり、建築基準法や都市計画法の改正と建築技術の進歩から、1968年に初の超高層ビル「霞が関ビル」が誕生しました。
1985年
OA対応設備のオフィスとしてインテリジェントビルが導入されました。
1900年代後半以降
大規模再開発事業等や2003年問題、2020年の新型コロナウィルス感染症の影響を経て今に至っています。
機器やITの発展
1960年代
オフィスはグレー色の島型対向式レイアウトが全盛です。電卓や乾式コピー機が普及し、ホストコンピューターが導入されてネットワーク化もはじまりました。
1971年
デスクとチェアのJIS規格が見直され、デザインの見直しとカラー化が行なわれグレー一色から明るいオフィス環境への兆しとなり、ワークステーションの概念やローパーティションが登場した。
1970年代後半
パソコン・ワープロ・ファクシミリのオフィス3種の神器が揃い、OAの幕開けと言われた。
1990年以降
高度の情報通信機器とネットワークの技術変革で、ユビキタス環境の到来となった。
本質的な課題と新たな試み
本質的な課題
・近年の社会や環境に関する課題。
・カスタマーの価値観の多様化への対応という課題。
・製品やサービスのコモディティ化のスピード激化への対応という課題。
・人生100年時代と言われる人生戦略に関する課題。
今後のワークプレイスの価値実現に不可欠な要素
いつでもどこでも働くことができるWorkplaceに求められる主な要素は、以下といわれています。
・自律性をうながすワークプレイス。
・共感性をうながすワークプレイス。
・創造性をうながすワークプレイス。
私は、急速なAIの発展によるワークプレイスを肌で実感しています。AIのジェミニさんと、パラーツの目指す『安堵の空間』を基に、今のワークプレイスの課題をまとめるとこのようになります。
現在のワークプレイスの課題(パラーツ×Gemini)
●効率の追求によって忘れ去られている精神性
・オフィスは、工場管理の思想テーラリスト主義をそのまま事務作業に持ち込むことから始まった。
・オフイスは、近代建築(モダニズム)の歴史と連動し、均質空間へと歴史を紡いできた。
・世界のどこでも同じ環境の均質なハコがつくられ、均質なハコでオフィスは発展してきた。
・明治以降、欧米型の効率主義オフィスを追求するあまり、それ以前に日本に確かに存在していた「働く場所の精神性」が、アカデミア・実務から抜け落ちているのではないか?
●自律を成り立たせる理(ことわり)にフォーカス
・理(ことわり)という視座をしっかりと持ち、真の自律を得る。
●垂直軸への意識を高める
・脱亜入欧以前(明治維新・太平洋戦争)以前の意識を高める。
・日本の普請(ふしん)の精神。
●理(ことわり)を感じる定番に学ぶ
・ジャンプルーヴェ、チャールズ・イームズ、アルヴァ・アアルト他。
あとがき
base 賢者は歴史から学ぶ
「愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ」ということわざがあります。ワークプレイスの歴史は、私たちが辿るべき約2000年~約2500という長さの歴史のほんの一部にすぎません。この100年程の歴史を振り返ると、関連する事柄も含めて学ぶべき事柄はたくさんあるはずです。
歴史の価値は、「歴史から学ぶ目的は、過去を懐かしむことではなく、今のワークプレイスの不自然さや課題に気づくこと」に該当するモノ・コト。また、建築構法・建築生産と日本文化の精神性を掛け合わせることで、効率の追求によって忘れ去られている精神性(Why/What/Who)を取り戻すこととも言えます。(パラーツ×Gemini)
21世紀の現代、ABW(時間と場所を自由に選ぶ働き方)やハイブリッドワーク、そしてAIの登場により、この均質なハコを活用した未来があります。私たちが歴史から学ぶべき未来への知恵とは、単に欧米の新しいトレンドを追いかけるのではなく、最新のHow(AIや生産技術)を使いながら、かつて日本の働く場所が持っていた「普遍的な精神性(不易)」を現代のワークプレイスに再統合することです。
(パラーツ×Gemini)
参考文献
参考図書 インテリアプランナー更新講習テキスト ワークプレイスのリ・デザイン
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本記事で触れた思考法や実践知は、Kindle電子書籍『パラーツ文庫・より良い方法シリーズ(全三巻)』にてより体系的にまとめています。
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(歴史を根本から理解し生成AIの活用法までを学べる法規範・構造)
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パラーツ計画技術研究所 知の構法構築家 鈴木邦彦
