こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、建築関連法規の5つの法の目的を比較して、総合的な目的を説明したいと思っています。
はじめに
別の記事コンテンツ:法とは何か?で、社会秩序を保つために個々の法には目的があり、個々の法の目的が集まって達成する世界観の把握が重要と説明致しました。このコンテンツでは、建築の設計・施工に関連する法律で達成しようとしている社会秩序のイメージを把握してほしいです。
5つの法の目的
建築基準法の目的 第一章総則 第一条(目的)
「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」
⇒要点①:最低限の基準
⇒要点②:生命・健康・財産の保護を図る
⇒要点③:公共の福祉の増進に資する
建築士法の目的 第一章総則 第一条(目的)
「この法律は、建築物の設計、工事監理等を行なう技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。」
⇒要点④:設計・工事監理等を行なう技術者の資格者業務の適正化をはかる
⇒要点⑤:建築物の質の向上に寄与させる
民法の基本原則 第一章通則 第一条(基本原則)
・民法は、私人間の権利義務関係を規律する法。
1 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行なわなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
⇒要点⑥:私権は公共の福祉に適合しなけれならない
⇒要点⑦:権利の行使・義務の履行は、誠実に行う
⇒要点⑧:権利の濫用は許されない
建設業法の目的 第一章総則 第一条(目的)
「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」
⇒要点⑨:建設業を営む者の資質の向上を図る
⇒要点⑩:建設工事の請負契約の適正化を図る
⇒要点⑪:建設工事の適正な施工を確保する
⇒要点⑫:発注者の保護と共に、建設業の健全は発達の促進する
⇒要点⑬:公共の福祉の増進に寄与する
消防法の目的 第一章総則 第一条
「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつてもつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。」
⇒要点⑭:国民の生命・身体・財産を火災から保護する
⇒要点⑮:火災又は地震等の災害による被害を軽減する
⇒要点⑯:災害等による傷病者の搬送を適切に行う
⇒要点⑰:安寧秩序を保持する
⇒要点⑱:社会公共の福祉の増進
公共の福祉とは?
社会全体がよくなる方向や社会全体の共通の利益等と捉えることができます。
参考条文
日本国憲法第十二条
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」
日本国憲法第十三条
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
考察
このように、建築関連法規の目的を把握してポイントを見ていくと、建築やWorkplace(ワークプレイス)の構築(設計と施工)をどのような性能・品質にする必要があるかか見えてくると思います。イメージしてみてください。
まとめ
base 法は、全容の理解からはじめよう
法全体の目的は社会秩序です。法全体の構成要素としての各法の目的はその分野の秩序です。そのような理解で条文を読んでいくと、難しい条文が少しは分かり易く見えるかもしれません。