オフィス・ワークプレイスの歴史

こんにちは、パラーツの鈴木です。本日は、「ワークプレイスの歴史」について説明いたします。

はじめに

パラーツは、建築・ファシリティ、インテリアの歴史の中で、ワークプレイスの歴史的な位置づけをしっかりと把握してから、今後のワークプレイスの歴史に携わっていきたいと考えています。
なぜなら、リアルなワークプレイスは、建築・ファシリティという不動産と密接だからです。

〇リアルなワークプレイス:「ワークプレイスの構成要素

テーラリスト・オフィスからはじまる

ワークプレイスが作られたはじめたのは100年ほど前です。当時にインターネットやクラウドによるバーチャルな仕組みがある訳はなく、ワークプレイスは、オフィスや執務室と言われるリアルな働く場所からスタートしました。

オフィスは、科学的管理法というマネジメントの原点と言われる思想を色濃く受け継いだ働く場としての「テーラリスト・オフィス」からのスタートします。
何よりも「効率」が追求されたように伝わる場合もありますが、科学的管理手法を見ると、雇用主への繁栄と労働者への最大限の豊かさを実現したものでした。

ワークプレイスの変遷

テーラリスト・オフィス以降、オフィスは3つの段階を経て発展してきました。

第二次世界大戦後、戦後の好景気の影響も受けながら、オフィスは効率性より人間性を考慮するようなレイアウト等に変化しました。このようなオフィスは、ソーシャル・デモクラティック・オフィスといわれます。

インターネットやモバイルツールが十分に普及した2000年前後から、オフィスは、デジタルとアナログをつないだ「柔軟性」を意識した空間へと発展してきました。このようなオフィスは、ネットワークド・オフィスといわれます。

この頃、経営的視点では、オフィスワーカーの感性が育ち、創造する組織を構築するオフィス、クリエイティブ・オフィスといわれるオフィスが求められるようになりました。

その後は体験性を重視するオフィスが重視されるといわれている頃、2020年に新型コロナウイルス感染症による影響で大きく変わりました。当時は「New Normal」という表現もされていました。
現在では、みなさんが日頃から体験されているように、急速なICT技術の発展により、いつでもどこでも働ける環境のワークプレイスになりました。

法整備とワークプレイス関連団体

法整備やオフィス関連団体の変遷からワークプレイスの歴史を見ると

1960年にスチール家具のJIS規格が制定されスチール家具が量産化されたことにより、木製のデスクと椅子で構成されていた日本のオフィスにスチール家具が一気に普及して、日本のオフィスの近代化の一歩となりました。

1956年 日本オフィス家具協会(JOIFA)

オフィス家具の普及・啓発を目的に、鋼製家具事務器工業会として設立。

1985年 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)

アメリカ合衆国から輸入された新しい施設の管理手法ファシリティマネジメントの研究等のため設立。

1987年 ニューオフィス推進協会(NOPA)

ニューオフィス化を推進するための団体。

この頃から、日本のオフィス環境において、革新的な変化が起こりはじめた。

1991年 日本テレワーク協会
1999年 日本オフィス学会(JOS)
2017年 コワーキングスペース協会
2019年 みつめる旅

ワークプレイス関連団体の詳細は以下を参考としてください。

〇ワークプレイス関連団体:「ワークプレイス関連団体

法整備とファシリティ

1960年代

大型ビルの建設がはじまり、建築基準法や都市計画法の改正と建築技術の進歩から、
1968年に初の超高層ビル「霞が関ビル」が誕生しました。

1985年

OA対応設備のオフィスとしてインテリジェントビルが導入されました。

1900年代後半以降

大規模再開発事業等や2003年問題、2020年の新型コロナウィルス感染症の影響を経て今に至っています。

機器やITの発展

1960年代

オフィスはグレー色の島型対向式レイアウトが全盛です。

電卓や乾式コピー機が普及し、ホストコンピューターが導入されてネットワーク化もはじまりました。

1971年

デスクとチェアのJIS規格が見直され、デザインの見直しとカラー化が行なわれグレー一色から明るいオフィス環境への兆しとなり、ワークステーションの概念やローパーティションが登場した。

1970年代後半

パソコン・ワープロ・ファクシミリのオフィス3種の神器が揃い、OAの幕開けと言われた。

1990年以降

高度の情報通信機器とネットワークの技術変革で、ユビキタス環境の到来となった。

ワークプレイスへの新たな試み

現在と今後の本質的な課題

・近年の社会や環境に関する課題
・カスタマーの価値観の多様化への対応という課題
・製品やサービスのコモディティ化のスピード激化への対応という課題
・人生100年時代と言われる人生戦略に関する課題

今後のWorkplace価値の実現に不可欠な要素

いつでもどこでも働くことができるWorkplaceに求められる主な要素は、以下といわれています。

・自律性をうながすワークプレイス
・共感性をうながすワークプレイス
・創造性をうながすワークプレイス

関連

ワークプレイスの定義については、下記の記事コンテンツにまとめています。参考としてください。

〇ワークプレイスの定義:「ワークプレイスとは?【用語】

考察

今後のワークプレイスの価値を創造し実現するためには、より豊富な知識とスキルが必要になるであろうと感じています。

まとめ

base 賢者は歴史から学ぶ

「愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ」ということわざがあります。
ワークプレイスの歴史は、私たちが辿るべき約2000年~約2500という長さの歴史のほんの一部です。

でも、この100年程の歴史を振り返ると、関連する事柄も含めて、学ぶべき事柄はたくさんあるはずです。

参考文献等

参考文献 インテリアプランナー更新講習テキスト ワークプレイスのリ・デザイン

ワークプレイス
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管理人

●名  称:パラーツ計画技術研究所
●名  前:代表 鈴木邦彦
●生年月日:1961年生まれ
●専  門:建築構法・建築生産
●資格 等:一級建築士
      監理技術者
      工学修士
      儀礼本科修了
      茶道文化検定

●ブログ運営の目的
第一の人生で、縁をいただいた専門・組織・分野での貴重な実務経験と、自ら行なってきた学びを基に、ワークプレイスの技術でしっかり成果を出して、後進や社会に貢献したいと考え創業したパラーツ計画技術研究所のブログです。
このブログで、安心とゆたかさに関連する事の基本的な考え方とやり方を伝えていき、『ワーカーのための論理的な基盤』の一翼を構築し更新することを目的にしています。

●学歴・職歴
1987年 明治大学大学院博士前期課程修了
1987年-1997年 建築士事務所
1997年-2002年 機械土木系事業会社
2002年- インテリア・什器系事業会社
2022年- パラーツ計画技術研究所
・「建築・都市・土木・インテリア」という多様な領域の実務経験
・「開発・設計・監理・管理」という幅広い領域の実務経験

●実績・執筆(共著)
・群居29 特集X年目のすまい
・SD別冊25 近未来実験集合住宅NEXT21 「部品3パート」
・コンバージョン[計画・設計]マニュアル 「サブシステム・インフィル」
・インテリアプランナー更新講習テキスト 「ワークプレイスのリ・デザイン」
・インテリアプランナー更新講習テキスト 「New NormalとWorkplace」

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