こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、学問のすゝめ「愛国心・第三条」について説明いたします。
はじめに
「愛国心」の第三条は、権威に弱いものは国をも売るという説明です。
あってはならない悪事があると、国にとっての大きな禍(わざわい)になるという内容です。
学問のすゝめ 権威に弱いものは国をも売る
●原文(福澤諭吉著:学問のすゝめより)
独立の気力なき者は人に依頼して悪事をなすことあり。
旧幕府の時代に名目金(みょうもくきん)とて、御三家などと唱うる権威強き大名の名目を借りて金を貸し、ずいぶん無理なる取引きをなせしことあり。その所業ははなはだ悪むべし。自分の金を貸して返さざる者あらば、再三再四力を尽くして政府に訴うべきなり。しかるにこの政府を恐れて訴うることを知らず、きたなくも他人の名目を借り他人の暴威によりて返金を促(うなが)すとは卑怯なる挙動ならずや。今日に至りては名目金の沙汰は聞かざれども、あるいは世間に外国人の名目を借る者はあらずや。余輩にまだその確証を得ざるゆえ明らかにここに論ずること能わざれども、昔日のことを思えば今の世の中にも疑念なきを得ず。こののち万々一も外国人雑居などの場合に及び、どの名目を借りてかんを働く者あらば、国の禍(わざわい)、実に言うべかざるべし。ゆえに人民に独立の気力なきはその取扱いに便利などとて油断すべからず。禍は思わぬところに起こるものなり。国民に独立の気力いよいよ少なければ、国を売るの禍もまたしたがってますます大なるべし。すなわちこの条のはじめに言える、人に依頼して悪事をなすとはこのことなり。
●現代語訳(要約:齋藤孝:現代語訳学問のすすめより)
・今日に至っては、さすがに名目金の話は聞かないが、外国人の名目を借りて同じようなことをやっている人間が世間にはいないだろうか。確証がないからここで断定的には論じられないが、むかしのことを思えば、いまの世の中にそういうことがあるのではないかと、疑念を持たざるをえない。
・今後、万が一、外国人に日本国内居住・移動の自由を認めた場合、この名目を借りて悪だくみをする人間が出たら、わが国に大きなわざわいとなるだろう。
・独立の気概のない国民は扱いやすく便利などと言って油断していてはいけないのだ。禍(わざわい)は思いもよらないところで起こるものだ。国民に独立の気概が少なければ、それにしたがって、国が売られる危険もますます大きくなるだろう。
まとめ
base 禍(わざわい)とならないために
YouTubeなどで、禍(わざわい)について色々な解説をされている方々がたくさんおられます。信憑性を確かめるのはなかなか難しいことですが、一人ひとりが自分の頭で事柄の本質を考えて、どのように解釈して、どのような行動をするか?一人ひとりの行動が問われているのではないかと思います。
参考文献等
参考文献 福沢諭吉:学問のすすめ 青空文庫 2012.06.18
参考文献 福澤諭吉・斎藤孝:現代語訳学問のすすめ ちくま書房 2011.03.25