こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、学問のすゝめ「政府専制の限界」について説明いたします。
はじめに
この「政府専制の限界」という示唆が書いてあるのは、第4編・国民の気風が国を作るの編です。
世の中の文明は、主に学術、経済、法律で成り立っていて、この3つがしっかりしていないと国の独立ができないという示唆には、共感いたします。
当時の日本の文明の進歩の遅れをなんとかしようとするが難しい現実が示されています。
学問のすゝめ
●原文(福澤諭吉著:学問のすゝめより)
(前略)方今わが国の形勢を察し、その外国に及ばざるものを挙ぐれば、いわく学術、いわく商売、いわく法律、これなり。世の文明はもっぱらこの三者に関し、三者挙がらざれば国の独立を得ざること識者を俟(ま)たずして明らかなり。しかるにいまわが国において一もその体をなしたものなし。
政府一新の時より在官の人物、力を尽くさざるにあらず、その才力また拙劣なるにあらずといえども、事を行なうに当たり如何(いかん)ともすべからざる原因ありて、意のごとくならざるもの多し。その原因とは人民の無知文盲すなわちこれなり。政府すでにその原因のあるところを知り、しきりに学術を勧め、法律を議し、商法を立つるの道を示す等、あるいは人民に説論し、あるいはみずから先例を示し、百方その術を尽くすといえども、今日に至るまでいまだ実効の挙がるを見ず、政府は依然たる専制の政府、人民は依然たる無気無力の愚民のみ。あるいはわずかに進歩せしことあるも、これがため労するところの力と費やすところの金とに比すれば、その奏功見るに足るもの少なきはなんぞや。けだし一国の文明はひとり政府の力をもって進むべきものにあらざるなり。(後略)
●現代語訳(要約:齋藤孝:現代語訳学問のすすめより)
・いま、わが国の状態を観察してみて、外国におよばないところを挙げてみると、「学術」「経済」「法律」の三つである。世の中の文明は、ただこの三つに関係しており、この三つがちゃんとしていないと国の独立ができないということは、識者の話を聞くまでもなく明らかである。なのに、いまわが国では、これらのうち一つとして体をなしているものがない。
・明治維新のときから、官にある人物たちが力を尽くさなかったわけではない。また、彼らの資質が劣っていたわけでもない。ただ、事をなすにあたって、いかんともしがたい原因があって思うようにいかなかったことが多いのだ。
・その原因とは、すなわち国民の無知無学である。
・政府はすでにその原因を知って、しきりに学術を振興し、法律作りを進め、新しい商売のやり方を指導している。ある場合には国民に説き、ある場合には、政府自らが手本となるほど、ありとあらゆる手段を尽くしているのだが、今日に至るまで効果があがっているようには見えない。政府は依然として専制の政治、国民は依然として無気力な愚民である。
・あるいは、わずかに進歩したところがあるだろうが、それとても、かかる労力と金からすると、ほとんど見るべき効果はない。なぜか。やはり、一国の文明は、ただ政府の力のみで発展できるようなものではないからだ。
まとめ
base 無知無学とならないために
学術はほぼ科学と同義ですので、文明を成り立たせているものは下記のようになります。これらのうち、必要な原則を取得していくことが必要です。クオリティの高い原則を習得して、積み上げていかないとうまくいかないと思われます。
科学:普遍的な真理や法則の発見を目的とする体系的知識
経済(一般的):人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。
経済(原義:経世済民):国を治め、民を救済すること。
法律:社会秩序を維持するために強制される規範。
一人ひとりが、自ら学ぶことが必要です。
参考文献等
参考文献 福沢諭吉:学問のすすめ 青空文庫 2012.06.18
参考文献 福澤諭吉・斎藤孝:現代語訳学問のすすめ ちくま書房 2011.03.25