こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、防火対象物工事等計画届出書について、根拠条文に基づいて、規定を分かり易く読んでいきたいと思います。
はじめに
管轄する消防署への提出が必要な場合は、「防火対象物工事等計画届出書」を工事着手日の7日前までに届出書を提出する必要があります。
なお、首都圏で防火対象物工事等計画届出書の提出を求めれる地方公共団体は東京都のみです。
届出 根拠条文・根拠条文の解釈
火災予防条例-東京都例規集データベースより転記
防火対象物の工事等計画の届出等(火災予防条例第五十六条)
●第1項
一時的な使用のために行う場合を除き、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の七日前までに、規則で定めるところによりその旨を消防署長に届け出なければならない。ただし、建築基準法第六条第一項及び第六条の二第一項の確認を受けた場合並びに同法第十八条第二項の通知をした場合(同法第八十七条第一項において準用する場合を含む。)は、この限りでない。
第一号
令別表第一各項((十九)項及び(二十)項を除く。次条において同じ。)に掲げる防火対象物のうち令第十条第一項各号若しくは令第二十一条第一項第一号(令別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物を除く。)、第三号及び第七号に掲げる防火対象物(令第十条第一項第五号に掲げる部分を有する防火対象物を含む。)又はその部分(以下「指定防火対象物等」という。)の建築(建築基準法第二条第十三号に規定する建築をいい、増築しようとする場合においては、防火対象物が増築後において指定防火対象物等となる場合を含む。)
第二号
指定防火対象物等の修繕、模様替え、間取り又は天井高さの変更その他これらに類する工事
第三号
前二号に掲げるもののほか、指定防火対象物等の客席又は避難通路(第四十八条、第四十九条、第五十条又は第五十一条の規定の適用がある劇場等、キャバレー等若しくは飲食店の階又は百貨店等の階若しくは地下街の物品販売業を営む店舗の一の構えに限る。)の変更
第四号
前三号に掲げるもののほか、防火対象物の用途変更その他これに類する変更(当該防火対象物が変更後において指定防火対象物等となる場合に限る。)
●第2項
前項の規定による届出には、指定防火対象物等の所在、用途、使用形態、収容人員、避難施設その他当該指定防火対象物等の使用に関して防火、避難の管理及び消防活動に必要な事項を記載した図書で規則で定めるものを添付しなければならない。
●第3項(省略)
●第4項(省略)
関連条文の意味(建築基準法)
建築基準法第六条第一項及び第六条の二第一項の確認を受けた場合:建築確認申請の場合
同法第十八条第二項の通知をした場合(中略):計画通知の場合
⇒確認申請や計画通知の場合は、消防同意があるため限りではないと解釈しています。
根拠条文の解釈
つぎの4つの号に掲げる行為をしようとするものは、当該行為に着手する七日前までに届出書を提出しなければならない。
第一号
建築:建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。(建築基準法第二条十三号より)
第二号
修繕、模様替え、間取り又は天井高さの変更その他これらに類する工事
なお、東京消防庁のHPには、以下の説明あり。
・届出する必要がある場合等(対象者・対象対象物など)
1.届出する必要がある場合
建物や建物の一部を工事する場合に必要です。
なお、具体的には、「次のようなことに伴う工事等」をいいます。
(1)「間仕切」や「天井高さ」の変更等の改装
(2)テナント入れ替え
(注)(1)、(2)共に。「建築確認申請手続きを要する工事」の場合は本提出は要しません。
2.届出する必要がある方(届出欄に記載される方)
工事業者等に対して依頼をした方です。
第三号
客席又は避難通路の変更
第四号
用途変更その他これに類する変更
添付図書 火災予防条例第五十六条第2条 ⇒ 火災予防施行規則第十二条
(中略)防火、避難の管理及び消防活動に必要な事項を記載した図書で規則で定めるもの
添付図面 根拠条文と根拠条文の解釈
根拠条文 火災予防施行規則-東京都例規集データベースより転記
放火対象物の工事等計画の届出の様式等(第十二条)
●第1項
条例第五十六条第一項の規定による届出は、別記第三号様式の届出書によりしなければならない。
●第2項
条例第五十六条第二項の規則で定める図書は、次に掲げる図書とする。
第一号
防火対象物の概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表及び建具表並びに防火基準(条例第五十六条第三項に規定する防火基準をいう。以下同じ。)に適合することについて審査をするために必要な事項を記載した図書
第二号
前号に掲げるもののほか、火気使用設備等(条例第五十七条第一項各号に該当するもの以外のものに限る。)又は火気使用器具等(火を使用する器具及びその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具をいう。)を設置(内容変更を含む。)する場合は、その位置、構造等の状況を示した図書
第三号
次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる図書(省略)
根拠条文の解釈
概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表及び建具表
防火基準(中略)に適合することについて審査をするために必要な事項を記載した図書
⇒基本は、平面と展開の形状と仕様(建築基準法・消防法上の不燃・防炎規制等)が求まられいます。
⇒レイアウト変更の場合は、「レイアウト前」と「レイアウト後」の平面図の提出を求められることが良くあります。
申請書類・申請様式
以下のリンクの届出様式、1.防火対象物計画届出書、2.防火対象物・製造所等の概要表からダウンロードできます。
関連
別の記事コンテンツで、防火対象物についての説明、防火対象物使用開始届出書の提出方法等を紹介していますので、併せてご確認ください。
○防火対象物の定義等:「防火対象物(用語)」
○防火対象物使用開始届:「防火対象物使用開始届出書(用語)」
考察
修繕と模様替えの解釈は難しいです。
一般に、建築における「修繕」と「模様替え」は、以下のような定義です。
「修繕」とは、同じ材料を用いて元の状態に戻し建築当初の価値に回復するための作業。
「模様替え」とは、建築物の材料、仕様を替えて建築当初の価値の低下を防ぐ作業。
ただし、火災予防条例には定義が示されていませんので具体的な工事と程度が分かりません。迷う時は管轄する消防署の予防課等と事前相談が必要と思われます。
大まかには、消防設備を変更するかしないかが、届出の要不要と関連していると思われます。
添付図書についても、管轄する消防署が防火基準に適合することについて審査をするためのものが必要となりますので、消防署の予防課等との協議が必要となります。
参考文献等
参考文献 日経アーキテクチュア+ビューローベリタスジャパン:プロが読み解く増改築の法規入門04 日経BPマーケティング 2016.06.28