こんにちは、パラーツの鈴木です。本日は、建築基準法の「排煙設備の設置」について
説明していきたいと考えています。
はじめに
私たちがワークプレイスの設計をする中で、この排煙設備に関する計画がたびたびありますので、何回かに分けてポイントとなる内容をまとめておきたいと思います。
今回は、排煙設備の機能、構成、排煙設備の設置が必要な建築物です。
根拠条文を基にしないと、解釈が違ったり、抜け漏れの原因になりますので、根拠条文を引用して説明いたします。
排煙設備とは?
●排煙設備の設置が必要な理由
・火災が発生した場合に、火災により発生する煙や有毒ガスが天井に沿って広がるのを防ぐと共に、煙や有毒ガスを屋外へ排出するための設備です。
・安全な避難経路の確保と人命の保護を目的にしています。
●排煙設備の構成
・間仕切壁や排煙垂れ壁などの防煙壁。
・煙や有毒ガスを屋外に排出するための排煙口。
●排煙設備が必要な建築物
ワークプレイスは特殊建築物には該当しませんので、以下が該当します。
①階数が3以上で延面積が500㎡を超える建築物(別記:免除規定・防煙壁)。
②排煙上の無窓居室(第百十六条の二第一項第二号)。
③延面積が1000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの。
・なお、建築基準法施行令第百二十六条の二第1項の第一項から第五項の場合は、排煙設備の設置の制限がありません。
・また、建築基準法施行令第百二十六条の二第2項は、別の建築物との扱いです。
(ほとんどのケースで関連したいと思います)
*特殊建築物とは、建築基準法で定められている、不特定多数の人が利用する建物や、周辺環境への影響が大きい建物などです。
根拠条文
建築基準法施行令 第三節 排煙設備 条文 e-GOV法令検索より転記
排煙設備の設置(第百二十六条の二条)
●第1項
法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
第一号
法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
第二号
学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
第三号
階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
第四号
機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
第五号
火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
●第2項
次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
第一号
建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十九項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該床若しくは壁又は防火設備により分離された部分
第二号
建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分
e-GOV法令検索:建築基準法施行令
考察
建築基準法で制限されている内容は、建物の用途と規模(面積と階数)で規定されていることがほとんどです。ある一定条件以上の建物に排煙設備が必要とされる理由を想像して、排煙設備の構成をイメージできれば簡単です。
まとめ
base 条文に慣れる
建築基準法等建築関連法規は、イメージを掴みながら読まないと分かり辛いと思います。このパラーツ・ブログで少しずつ解説していきますので、慣れていってください。