こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、内田祥哉先生の著書である現代建築の造られ方の11章、建築技術の課題から学ばせて頂いた内容として、自然と文化の視点から技術の課題を説明いたします。
はじめに
本書は、建築学のバイリンガルテキストとして2002年に刊行されたものです。
国際的に通用して、日本人読者にもに有益であるように、日英二か国語のバイリンガル形式で書かれている建築や建築構法などの専門知識がなくても読めるように執筆されたものです。
私は、この書籍をきっかけに、「文化」について深く意識するようになり、文化の様々な定義を調べるようになりました。
現代建築の造られ方・技術の課題・自然と文化(自然科学と考古学)
●前提
・考古学の国立奈良研究所と、主に南極の観測を行う国立極地研究所との極端な研究態度の違いから説明していただいています。
●国立奈良文化研究所
・古代研究の手がかりは、発掘(一年間≒1mm)。
・発掘対象:人類の生活の痕跡がなったくなくなるまで。
・考古の対象は、人類の技術史。
●国立極地研究所
・地表面の人類の生活の痕跡はまったくの異物。
●文化と技術
・考古の対象となる文化遺産とは、人類が地球を加工した歴史。
・地球加工の歴史は、人類が開発した技術の歴史。
・文化遺産は、人類が開発した技術の成果物。
・文化は、人類が創造した技術の累積。
・無形のものを加えれば、およそ文化と言われているものは、人類の開発した技術。
(【対訳】現代建築の造られ方 p.114より引用)
考察
技術は、一般的には技術より上位の概念である技(わざ)があり、技(わざ)は、学習や訓練によって習得する能力である「技能」と、技能者が表現や媒体によって技能を伝えるための「技術」に分かれます。
そして、技能の特徴は、「ヒトに宿っている能力や行為」ということです。
文化の定義は様々ですが、一般的には、「人類がみずからの手で築き上げた有形・無形の成果の総体」です。
このように考えると、時代毎の技能者が開発した技術で、次の時代にとって必要な文化の要素で、その技能者からしっかりと技能を受け継ぐことができた時に、文化の継承が成り立っているのだと思います。
まとめ
base 文化:技術の累積
私たちは、目に見える出来上がったものに捉われてしまう傾向になるため、文化が多様な内容(What)の集合体で、時代と共に変化しているもののように感じてしまうかもしれませんが、背景には技術があることを知ると、文化に対する理解が深まると思います。
土器や石器をつくり、私たちの豊かな生活のために行ってきた先達の歴史を見ると、欲求だけがあっても、技術(How)がないと、文化が成り立たないことが分かります。
参考文献等
参考文献 内田祥哉:【対訳】現代建築の造られ方 市ヶ谷出版社 2004.03.29