こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、オルテガの「大衆の反逆」という名著から学べることについて説明いたします。
はじめに
オルテガの大衆の反逆は、私が学んでいるNHK100分de名著の番組の中で、中島岳志さんが「真のリベラルを取り戻せ」という番組を紹介されていたので、説明したいと思っていた名著です。中島岳志さんは、自分ごととして学ぶ政治学で紹介した「学びのきほん 自分ごとの政治学」の著者です。
パラーツは、基本的に、日本のインフラ・ファシリティー・建築・ワークプレイス、そして、日本の伝統と文化を対象としていますので、DNA的には日本の先達からの教えをベースにしていますが、オルテガのように、スペイン(1930年)で書かれた書籍で問題提起されていることが、日本の現代の状況に当てはまることに、不思議と驚きを感じました。
結実大学で、川嶋政輝さんが、オルテガの大衆の反逆を日本の現代の状況に照らして、分かりやすく解説されていますので、紹介いたします。
参考講義:100年前の名著 オルテガ『大衆の反逆』を現代版で解説
(講師:結実大学・川嶋政輝さん)
●世の中の動かす「大衆」の存在
・日本の現代の状況:周りの目を気にしすぎていて、背骨や軸がない。
・スペイン:戦争を通して背骨がくじかれ、突如「大衆」という存在が現れた。
・大衆・平均人:自己中心的で自分さえ良ければいいという考え方等。
・世の名への影響や力は、多くの民衆の支持を持って、基盤があって力を持つ。
・実は、大衆自体が世の中を動かしている。
●恐怖に支配されて生きる現代人
・他人の批判をするだけでなく、義務と責任を自分自身に課しているか?
・SNSでの批判を恐れている。
・出る杭は打たれる文化。
・無意識は根底で繋がっている:世の中の風潮・空気・流れ
・進歩史観、死者を大切にできていない。
●恐れから解放される方法とは
・世の中を悪くしているのは、各個人・自分自身ということ。
・貴族的になろう、ノブレス・オブリージュ
・命の本質:捧げること(信仰心とセットとなっている)
●「わたし」とは、「わたし」と「わたしの環境」である。
・現代人は、「わたし」は「わたし」と思ってしまっている。
参考動画:100年前の名著 オルテガ『大衆の反逆』を現代版で解説します
考察
参考文献を読むと、川嶋政輝さんの解説に加えて以下のようなことがポイントのように感じています。
●専門家こそが大衆の原型である
物事を科学的に解明しようと思うと、どんどん専門分化されていくので、科学者は総合的な教養を失う傾向にあり、総合的に見る目と自分の専門自体を見る目も失う傾向にあるということ。そうならないために、バランスよく、大衆化しない智慧を積み上げないといけないと感じました。
●「生きている」死者の存在
オルテガは、人間は二度死ぬ(心配停止になって死ぬ・忘却によって真の死を迎える)と言っています。「生きている」死者を意識しながら、共に歩むことの大切さへの示唆です。
別コンテンツで、なんども死者(先達)を意識することの大切さは書かせて頂いているので、共感いたします。
●「保守思想の父」エドマンド・バーク
オルテガよりも150年ほど前のイギリスの政治家です。復古・反動・進歩いずれにも懐疑的で、過去から相続した歴史的な財産に対して永遠に微調整することを示唆されています。共感いたします。
まとめ
base ノブレス・オブリージュ
異端や少数派は、大衆に理解してもらえないことが多く孤独に努力しないといけないです。異端や少数派になる意識が芽生えても、私がパラーツブログで紹介しているブッダ、内村鑑三、福澤諭吉から学べることは、強い人間になるための具体的な方法です。活用ください。
貴族であれと言われても難しいため、少なくとも公徳の意識は忘れずに、各々が出来ることをやり、公に貢献したいと思い積極的になることが大切だと思っています。
○ブッダ:「Zen 禅語から学ぶ」
○福沢諭吉:「学問のすゝめ 学問の意義」
○内村鑑三:「勇ましい高尚なる生涯」
参考文献等
参考文献 オルテガ・中島岳志:真のリベラルを取り戻せ 大衆の反逆 NHKテキスト 2022.02.25