こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、建築基準法で人命に関わる大切な規定とされる「防火・避難関係の規定」についての考え方を説明いたします。
まえがき
建築基準法の目的を再確認してみてください。
建築基準法の目的は、
「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資すること」です。
建築基準法でもっとも大切にされているのは「国民の生命」です。だから、この防火と避難の規定は特に注意すべき規定です。
この規定の目的別に説明いたします。
目的:火災からの人命の確保
●延焼の防止
・延焼のおそれのある部分の防火制限。
・主要構造部の防耐火制限。
●火災による倒壊の防止
・主要構造部の防耐火制限。
●火災の伝播・拡大の防止
・主要構造部の防耐火制限。
・防火区画の設置。
・内装材料の制限。
●火災の発生の抑制・防止
・内装材料の制限。
●避難安全の確保
・内装材料の制限。
・避難施設の設置。
・排煙設備の設置。
●消防・救助活動の円滑化
・排煙設備の設置。
・非常用進入口・非常用エレベーターの設置。
各制限の内容
◆延焼のおそれのある部分の防火制限
・屋根・外壁・軒裏の防火。
・開口部の防火。
◆主要構造部の防耐火制限
●目的
・火災建築物の倒壊による周囲への加害防止。
・火災建築物の在館者が避難している間の安全性の確保。
・周囲の建築物において火災を発生した場合の延焼による受害防止。
●建築物全体の主要構造部に準耐火構造等の構造とする制限(立地・用途・規模)
・防火地域等の立地による構造の制限。
・高さ16m超、延べ面積3000㎡超などの大規模建築物の構造の制限。
・不特定多数が利用するなど避難安全性に配慮が必要な要路に応じた構造の制限。
◆防火区画の設置
●目的
・建築物内に発生した火災を一定領域内に封じ込めることにより、火災による被害を最小限にとどめる。
①面積区画
建築物内の主として水平方向の火災拡大を防止し、火災の規模を限定することを目的として、一定面積ごとに準耐火構造等の床・壁・防火設備で区画するもの。
②竪穴区画
階段、昇降機の昇降路、吹抜け等の建築物の垂直方向に通じている空間に、遮炎性能や遮煙性能を有する防火設備で区画するもの。
③異種用途区画
同一の建築物であっても用途に応じて管理形態が異なることに着目し、異なる用途の部分ごとに、準耐火構造等の床・壁と遮炎性能を有する防火設備で区画するもの。
◆内装材料の制限
●目的・内容
初期火災の成長を遅延させ、火災初期の避難の安全の確保をするとともに、火災が成長しても煙の発生を少なくする観点から、建築物の用途・規模や居室の構造に応じて定められた所要の性能を確保するため、居室や避難経路において、燃えにくい材料を使用する制限。
◆避難施設の設置
●目的
・火災発生時に、在館者が安全に地上まで避難できるようにするため、建築物全体の避難安全性を確保するための避難施設を設けること。
●避難施設
・廊下、避難階段及び出入口。
・排煙設備。
・非常用照明設備。
・敷地内の避難上及び消火上必要な通路。
◆非常用進入口・非常用エレベーターの設置
●目的
・消防隊による救助活動を円滑に行えるよう、非常用進入口と非常用エレベーターの設置が義務付けられている。
考察
防火・避難関係の規定は、とても大切な規定です。「火災からの人命の確保」という目的のために様々な対策が講じられていると解釈できれば、難しくないことが分かると思います。
あとがき
base 目的と対策
法は、制限の単体の条文を見ていても法的制限の内容を深く理解することは難しいです。目的と対策が理解できると、納得できると思います。