こんにちは、パラーツの鈴木です。本日は、監理と管理の違いについて説明したいと考えています。
はじめに
監理と管理は、どちらも「カンリ」と読むので、実際に現場でやりとりをしていると、これらの業務に対して具体的に何が求められていて、どのような役割分担になっているかが曖昧になる傾向があります。ここで整理したいと思います。
特に、監理が紛らわしいです。建築士法と建築業法の定義を根拠として説明いたします。
監理と管理の一般的な定義
辞典等の定義のポイントをまとめると以下のようになります。
監理の一般的な定義
・「監理」は「監督+管理」のこと。規則や事前の取り決めの通りに事が進んでいるかを確認し取り締まること。英語と類語から推測すると分かりやすいと思います。
参考HP:weblio・監理
〇監理の英語と類語
supervision
【類語】監督、監理、総覧、宰領(さいりょう)
管理の一般的な定義
・ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。
・とりしきること。とりしまり。
・事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。
・「管理」は、監理と同様「取り決め通りに事がすすめるよう取り締まる」という意味合いを含むが、「取り締まる」というよりは「取り仕切る」というニュアンスが色濃い。
英語では、manegementとcontrolにあたります。監理との違いをイメージできると思います。
参考HP:コトバンク・管理
〇管理の英語と類語
management
【類語】管理、経営、運営、幹部、取り扱い、操作
control
【類語】制御、コントロール、管理、調整、統制、操作
「監理」法による定義
管理は、建築関連法等による定義がないですが、監理については、建築士法と建設業法に定義がある。
建築士法上の「工事監理」
根拠条文:第二条第八項 定義
この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
根拠条文:建築士法第十八条第三項 設計及び工事監理
建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなけれなならない。
建設業法上の「工事監理」
根拠条文:建設業法第二十三条の二 工事監理に関する報告
請負人は、その請け負った建設工事の施工について建築士法第十八条第三項の規定により建築士から工事を設計図書のとおりに実施するように求められた場合において、これに従わない理由があるときは、直ちに、第十九条の二第二項(請負人の注文者に対する意見の申出の方法)の規定により通知された方法により、注文者に対して、その理由を報告しなければならない。
建設業法上の「監理技術者」
根拠条文:建設業法第二十六条 主任技術者及び監理技術者の設置等
(中略)
根拠条文:建設業法施行令第二条 法第三条第一項第二号の金額
(前略)
・監理技術者
・四千五百万円以上(建設工事である場合においては、七千万円とする。)
根拠条文:建設業法第二十六条の四 主任技術者及び監理技術者の職務等
1主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
2工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。
考察
・建築士法は、建築物の設計や工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正を測る法律のため、建築士事務所が守るべき法律です。
・「工事監理」で求められている業務は、設計図書=正と仮定した上で、現場で起こるであろう様々な問題に対して解決していくことと解釈しています。
・「工事監理」への対応については、建設業法にしっかりと明記されています。
・監理技術者の監理は、「工事監理」の「監理」とはまったく異なる意味合いです。
監理技術者の業務は、「工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督」です。
まとめ
base 判断者を明確にする
「管理」と「監理」のように、言葉を曖昧のままにして現場を運用すると、抜け漏れが発生したり、決裁者(判断者)も曖昧になり、生産プロセス上はマイナスの方向ですので注意が必要です。