こんにちは、パラーツの鈴木です。本日は、「自律・分業・連帯」について説明いたします。
はじめに
2025年2月、NHK100分de名著で放映された「社会分業論」からの学びです。分業や連帯は、なかなか難しい課題ですので、深く考察したことがなかったため、たいへん良い学びになりました。
ワークプレイス構築等に活用できる事柄のポイントを紹介いたします。
100分de名著 デュルケーム 社会分業論
社会分業論は1893年(明治26年)に発表された、フランスの社会学者エミール・デュルケームの最初期の著作です。
ヨーロッパにおいて、近代社会に起こった民主化、産業化、個人の自由と自律を主張する個人主義が伸張していく中で、個人主義の課題に着目し、孤立や対立に陥らない個人主義の形を探ろうとしたものです。
近代社会にあって、人々をつなげるものとして着目したのが「分業」で、分業を人と人との結合を生み出すものという観点から「社会的連帯」と捉えられました。
●自律と自立についての解釈
「・独立とほぼ同じ意味で「じりつ」という言葉を使います。
・「じりつ」には、「自律」と「自立」の二つの漢字がある。
・「自律」は、他者や外部からの支配や制約を受けず自分自身の考えや良心に従う行動。
・「自立」は、身体的あるいは経済的に独り立ちしていることを指す。
・経済的な自立の重要性を認めながらも、精神的・道徳的な「自律」が主たるテーマ。
⇒身体的・経済的「自立」の意味を含めて「自律」としている。」
●個人化/孤立化の時代に向き合う
「・あらゆるリスクを自己責任ととらえる風潮が広がっている。
・目に見えない社会的事実を考える。
・目に見えない道徳的関係=モラルを考える。
・自己責任とうまくいかないことの連続。 」
●自律的個人はこうして生まれた
「・個々人の義務としての自由
・個人は、近代になってはじめて生まれた。
・自分自身の独自の考え方と意思で個人が登場した。
・集合意識の価値判断⇒独自の価値判断(自律的個人)
・エゴイズム:何をすれば良いか分からなくて、身動きがとれなくなる状態。
・アノミー:何をしても不満で焦っている状態。無限の欲求になる。」
●「連帯」とそれをはばむもの
「・自律した個人の登場と共に、分業という概念も登場した。
・分業は、対立させると同時に結合させる概念。
・連帯:人々の結びつき。
・有機的連帯:依存。
・分業は、アダムスミスの経済的効果よりも、人々により多くの絆を作るもの。
・分業:その人たちのやりがい。」
〇分業が人々の対立を生む3つのケース
「①アノミー・無規制的分業
②拘束的分業
③その他の異常形態:お互いの連携不足のために仕事がうまくいかなくなる」
〇現代の分業が連帯感を生まない理由
「①分業の巨大化・グローバル化
②分業の細分化
③分業の流動化」
〇日本の祭りにヒントを
「・機能的な連帯では済まない感覚的思考。」
●「個人の自律」と「連帯」の両立-依存の復権へ向けて
「・人と人が繋がるヒント:まず自律の前提として依存がある。
・同じ人間であることしか共通点を持たなくなる。
・人間であることを社会道徳の基盤に据えた。
・中世社会の頃の中間集団の意義を再認識⇒新しい中間組織
・事例:高度成長期の日本型経営をしていた会社組織」
考察
社会に対する自律・分業・連帯の考え方は、私たち一人ひとりと組織との関係にも置き換えることができると思います。現代でも必要とされる中間組織の事例として、高度成長期の日本型企業は、幼少の頃に体験しているため、イメージが沸きました。
デュルケームのやり方は、長い歴史の中で、一つひとつの常識や良識を積上げていって今の生活ができあがっている、常識を尊重しながらも、その常識を疑ってみて、常識をもう一度作り変えながら鍛えていくこと、といわれています。
インテグリティを感じる、誠実で着実な実践方法だと思います。思想で説明すると、保守だと思います。
まとめ
base プロジェクトを良い方向へ
ワークプレイスの構築を明確にプロジェクトと考えて、自律・分業・連帯を意識していくことで、少しづつ、現場はより良い方向で変わっていくと思います。意識付けがとっても大事です。
参考文献等
参考文献 デュルケーム・芦田徹郎:100分で名著 社会分業論 NHKテキスト 2025.02.01