こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、解説本と法の条文を解釈した内容の違いについて説明いたします。
はじめに
法規のチェックに慣れていない場合は、建築基準法等を解説した解説本を頼りにするようになると思いますが、私たち建築士に求められているのは法の適用条文の解釈ですので、解説本は適切に利用する必要があります。
解説本は、ポイントが押さえられていて分かりやすいものや詳しいものがたくさんありますので、自分にあった解説本で当たりをつけるにはたいへん有効ですが、あくまでも参考資料です。
法の適用条文から解釈する習慣をつけないで解説本を根拠にして判断していますと、法解釈にズレ等が生じる可能性があるため、注意してください。
なぜなら、建築士法で定められている制限は以下だからです。
「建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。(建築士法第十八条第1項)」」
〇法令・条例への適合:「建築士法 業務」
当たりをつけ、法の構成を理解し、条文に慣れる
私が、適切な法解釈だと考えている方法をお知らせいたします。
①解説本で当たりをつける
解説本は、適用条文の要点がまとまっていて、基本的には適用条文と適用条文の構成が示されているものですから、当たりをつけるには有効です。
②法体系と法等の目次で適用条文を確認する
法には、法律、政令、省令、告示、通達、条例という体系がありますので、適用条文に該当する内容がどの体系に記載されているか確認すると共に関連事項を確認します。そして、該当する法律~条例の目次で他の条文との関係を確認します。
法の目次を一覧で見ることができないと、法等の内容を把握した上で、適用部分の把握に戸惑うと感じていますので、パラーツでは、目次を一覧化していきます。現在は、建築士法と建築基準法を別コンテンツとしてまとめていますので、参考としてください。
〇建築士法の目次:「建築士法 目次」
〇建築基準法の目次:「建築基準法 目次」
③条文を確かめる
解説本に説明されている内容の該当箇所を条文で把握すると共に、解説本の解釈と、ご自身の設計内容の法解釈に食い違いがないかを確認します。食い違いがなければ、解説本の解釈とのズレがないことが確認できます。
条文をしっかり把握して頂くため、パラーツ・ブログでアップしている記事コンテンツは、必ず原文をコピーして載せています。解説本はページの制約等で原文との対比が載っているものが少ないように感じますので、参考としてください。
順次、この目次から、項目毎の説明が見れるようにしていくつもりです。
関連
●法の目的と特徴
建築士法や建築基準法という建築行為に関する法を学ぶ以前に、そもそも法とは何か?、その目的と特徴を理解しておく必要があるため、別の記事コンテンツでまとめています。参考としてください。
〇法?・目的と特徴:「法とは? その目的と特徴」
●建築関連法規の目的を知る
建築基準法、建築士法、民法、建設業法、消防法等、建築行為を行なう時に制限を受ける法の目的を把握していないと、これらの法体系である制限を行ない実現したい秩序が想像できないため、別の記事コンテンツでまとめています。参考としてください。
〇法の目的:「建築関連法規 法の目的」
●法体系を知る
前述したように、法には、法律、政令、省令、告示、通達、条例という体系がありますので、別の記事コンテンツでまとめています。参考としてください。
〇法体系とは?:「法体系を学ぼう」
●法解釈を知る
一般的な解釈とはどういうことかを踏まえた上で、法的な解釈はどのようなことか分からないと法解釈ができないため、別の記事コンテンツでまとめています。参考としてください。
〇法解釈を知る:「法解釈とは?」
考察
私が修業をした建築設計事務所では、設計している内容の法適用と法解釈が心配になり、業務中に法の解説本を見ていると、解説本ではなく赤本を見るように注意をされたものです。
赤本とは、まったく解説もない条文そのものです。私が一級建築士を受験した時は、赤本ではなくオレンジ色の本で少し解説が書いてある分かりやすいものでしたが、赤本は見にくい難しい条文でした。
建築設計事務所の頃は、赤本を見るように注意された意味が良く分からないままでしたが、後で分かってきました。法規の専門家が解釈した事柄でも、他者が解釈したものです。解説本の解説内容を鵜呑みにしてしまうと、間違った判断をしてしまう可能性があるからです。
まとめ
base 法規等の条文に慣れる
法の目的、特徴、体系、解釈の意味等を把握した上で、①~③のステップで最終的に条文を確認する習慣が必要だと思います。時間は掛かると思いますが、長い期間を掛けて慣れていく内容だと思います。
たいへん便利になりました。法文は、下記のサイトですぐに検索できます。
デジタル庁が運営している日本の法令検索・閲覧システム:e-GOV 法令検索