こんにちは、パラーツの鈴木です。本日は、法の「目的と特徴」について、ご説明いたします。
はじめに
ワークプレイスという空間を構築するためには、建築基準法・建築士法・建設業法・消防法等の法規を学び、自分なりの法解釈を行い、設計内容に法適用していく必要があります。
ただ、最初からこれらの個別の法から学んでしまうと、法体系のイメージを掴むことが難しいため、法の目的や特徴から学ぶことをお勧めいたします。
法とは何か?
日本などの近代国家は、原則として法治主義を取っているため、この社会の中で、私たちが共同生活を営むためには一定の社会秩序を保つ必要があります。法は、この社会秩序を維持するための規範で、公の強制力を伴うものです。公法といわれます。
社会には、明確に体系づけられた公の強制力に裏付けられた法だけでなく、社会を秩序正しく保持するための一定の行為規範が存在します。例えば、私法である民法です。
近代国家は、法や規範によって組織され、規律されている社会といわれています。
法の目的
社会秩序を保つための個々の法には、それぞれに目的があります。
法は、何らかの目的を達成するための手段です。法が規定している目的、そして個々の法の目的だけでなく一定の範囲の法が集まって達成すべきとされる法秩序全体の目的や理念を考えることが重要であるといわれています。
法の主な目的は、社会に法的安定性を確保することで、以下が必要といわれています。
①法は、明確でなければならない。
②法は、あまりたやすく変更されてはならない。
③法は、実際に行なわれるものでなければならない。
④法は、社会に生きる人々の意識に合致することが必要である。
法の特徴
偶然性と恣意性
法は、自然科学の法則のように必然性を持たず、法則と比べると偶然性と恣意性が加味されているように見えますが、基本は、法には偶然性と恣意性が加味され難い論理的なものであると考えられているようです。
しかし、命題に矛盾・問題等がなく論理に徹底して突き詰めて成立されていれば公平性の高い法となりますが、社会状況を見ていると、命題の設定の仕方に疑問がある場合は、いくら論理的に法を構築しても、偶然性や恣意性が入らざるを得ない場合があると感じています。
法解釈
法は、実施には適用すべき条文を解釈をして、ある事柄(設計内容)に適用していくことになります。また、法は、先例主義をとります。ある条文を解釈して適用された例で社会秩序が保たれているという先例があるから問題がないとする考え方だと捉えています。
法解釈については、別の記事コンテンツでまとめています。
〇法解釈:「法解釈とは?」
考察
法の目的が良く分からない状態で法の細部を見ると、ますます分かり難くなると思いますので、一旦、法の目的を確認して、私たちの意識と合致しているかどうかを考えることが重要だと思います。
建築に関連する法の目的は、別の記事コンテンツ「建築関連法規・法の目的」で紹介しています。この記事コンテンツを読むことで、建築関連法規の目的から、建築との関連が深いワークプレイスに求められている法的秩序のイメージが分かってくると思います。
まとめ
base どのように法解釈するかが大切
言葉や文章にはある程度の意味の幅がありますから、条文の法解釈がまったく同じとなることはあり得ないことです。実体に即した解釈をする事が大切です。
それぞれの法の目的や各条文に記されている内容の背景を把握して、法解釈する必要があります。
参考文献等
参考文献 伊藤正己・加藤一郎:現代法学入門[第4版] 有斐閣 2020.01.25