こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、ものづくり経営学の「アーキテクチャ概念」について説明いたします。
はじめに
「建築」という言葉は、明治時代にヨーロッパから入ってきた”Architecture(アーキテクチャ)”という外国語の略として当てられたもので、大学等の建築学科や建築界では、アーキテクチャ(建築)やアーキテクト(建築家)は一般的に使われることばです。
建築界でのアーキテクチャの意味は、別の記事コンテンツで説明したように、建築を設計して出来上がった成果等を示して、「多くの構成要素が総合されて、見事に完成された構成」等という表現で使われることが一般的だと思います。
ものづくり経営学でのアーキテクチャ概念は、結果は同じですが、少々ニュアンスが異なり、ものづくりの過程を含めた産業・企業の戦略や競争力の分析ツールという側面で捉えられています。
あらゆるものづくりの現場に共通して有効な概念ですので、アーキテクチャ概念についての藤本先生のご説明を紹介いたします。
なお、藤本先生のご説明を一般の建築設計に置き換えますと、機能は、基本構想・基本設計などの建物を実現するための基本的な方針を立てる設計で、構造は、建築の構造力学の世界ではなく、実施設計や施工図などの具体的に建築を創ることと解釈できます。
〇建築・アーキテクチャ:「構法 設計・施工(生産)を探求する学問」
参考講義:製品アーキテクチャとは ~機能・構造~
(講師:藤本隆宏先生)
●前提
・設計は、ものづくり経営学の一番大切な概念である。
・あらゆる設計物には、機能(機能設計)と構造(構造設計)がある。
●設計の2つの側面
①アーキテクチャ(Architecture)
・抽象的な機能・構造関係(設計の形式)
⇒建築では、基本構想や基本設計などの建築を実現するための基本的な方針の設計
②固有技術(Techinology)
・具体的な機能・構造関係(設計の内容)
⇒建築では、基本設計等に基づいた具体的な設計(実施設計+施工図)です。
●アーキテクチャ
・アーキテクチャ論は、業界や産業の違いを超えて論じることができる。
・アーキテクチャ概念で産業分析ができる。
参考動画:製品アーキテクチャとは ~機能・構造~
考察
建築士にとって、アーキテクチャという言葉はたいへん身近な言葉です。
経営という視点、デザインという視点、文化という視点等、あらゆる視点から考えて目指すべき目標は、「多くの構成要素が総合されて、見事に完成された構成」だと思います。
あらためて、建築・ワークプレイスの業界でも、プロセスを含めた「アーキテクチャ概念」を意識することで、より良くなる部分が多々あると思っています。
まとめ
base 構造的な意識を持つ
ものづくり経営学で設計に2つの側面があるといわれているように、また、建築士には建築士法による法的制限がありますから、アーキテクチャと固有技術を分けることは難しいです。具体的な実現の意識を持つことが求められていると思います。
〇定義:「建築士法 目的 職責 定義」
参考文献等
参考文献 内田祥哉:造 1996
参考文献 藤本隆宏他:建築ものづくり論 有斐閣 2015.07.10