こんにちは、パラーツの鈴木です。
本日は、学問のすゝめ「国にもバランスが必要」について説明いたします。
はじめに
この内容が書かれているのは、第4編・国民の気風が国を作る・日本の独立です。
日本全体の独立を維持するためには、私たちは、国民としての責任を尽くし、政府は、政府としての責任を尽くし、お互いに協力しあわなければならない。という前提です。
当時の日本の文明の進歩の遅れを背景とした疑問に対する示唆です。
学問のすゝめ
●原文(福澤諭吉著:学問のすゝめより)
すべて物を維持するには力の平均なかるべからず。譬(たと)えば人身のごとし。これを健康に保たんとするには、飲食なかるべからず、大気、光線なかるべからず、寒熱、痛痒(つうよう)、外より刺衝(ししょう)して内よりこれに応じ、もって一身の働きを調和するなり。今にわかにこの外物の刺衝を去り、ただ生力の働くところにまかしてこれを放頓(ほうとん)することあらば、人身の健康は一日も保つべからず。国もまた然(しか)り。政(まつりごと)は一国の働きなり。この働きを調和して国の独立を保たんとするには、内に政府の力あり、外に人民の力あり、内外相応じてその力を平均せざるべからず。ゆえに政府はなお生力のごとく、人民はなお外物の刺衝のごとし。今にわかにこの刺衝を去り、ただ政府の働くところにまかしてこれを放頓することあらば、国の独立は一日も保つべからす。いやしくも人身窮理の義を明らかにし、その定則をもって一国経済の議論に施することを知る者は、この理を疑うことなかるべし。
●現代語訳(要約:齋藤孝:現代語訳学問のすすめより)
・何事であっても、物事を維持しようとすれば、力のバランスというものが必要である。
・人体を健康に保とうとすれば、(中略)
外部の刺激に対しては、内側から反応して、一個の身体の働きを調和する。もし、いま急にこの外部からの刺激をなくし、ただ体自身の生命力にまかせてこれを放っておいたりしたら、人体の健康というのは一日ももたないだろう。
・国であっても同様の政治というのは、一国の働きである。この働きを調和させて国の独立を保とうとすれば、内側に政府の力、外部には国民の力があって、内外それぞれ反応してそのバランスをとらなければいけない。
・政府は内側の生命力のようなもので、国民は外部の刺激のようなものだ。
・いま急に刺激をなくして、ただ政府の働きにまかせて放っておいたならば、国の独立というのは一日ももたないだろう。人体生理の性質をはっきり理解し、その法則が一国の政治を政治を議論することに応用できると知る人であれば、この道理を疑うことはあるまい。
まとめ
base 外部刺激としての国民を意識する
私たちが、毎日のように入手する社会状況の報道を得て感じることは、どの報道が正しいかどうかは別としても、政府に任せきりにしていても、現状は良くならなく、未来に希望が持てないのではないでしょうか?別の記事コンテンツのオルテガ「大衆の反逆」の示唆の通りです。
私たちが、外部刺激としての役割を果たすには、自律して自ら学ぶ姿勢が必要なのです。
〇自分ごととする:「自分ごととして学ぶ政治学」
〇大衆化の危機を学ぶ:「オルテガ 大衆の反逆から学ぶ」
参考文献等
参考文献 福沢諭吉:学問のすすめ 青空文庫 2012.06.18
参考文献 福澤諭吉・斎藤孝:現代語訳学問のすすめ ちくま書房 2011.03.25